うさぎは見た目がかわいらしく、感情豊かで人気の高いペットですが、実は腫瘍(しゅよう)にかかりやすい動物でもあります。特に中高齢(5歳以上)になるとうっすらとしたしこりやコブのようなものが見つかることも少なくありません。
この記事では、「うさぎの腫瘍ってどういうもの?」「どんな種類があるの?」「治療はできるの?」といった疑問に対して、やさしく、わかりやすく解説していきます。

腫瘍=すべて悪いものではない
腫瘍とは、体の中の細胞が異常に増殖してできた「かたまり」のことです。すべての腫瘍が「がん(悪性腫瘍)」というわけではなく、「良性腫瘍(脂肪腫や線維腫など)」も多く存在します。
良性腫瘍は基本的にゆっくりと成長し、周囲に転移することはありませんが、大きくなると生活に支障が出ることがあります。逆に悪性腫瘍は周囲の組織に広がったり、体内の他の場所に転移する恐れがあるため、早期発見・早期治療が重要です。
うさぎに多い腫瘍の種類と部位
うさぎにできやすい腫瘍は、以下のようにいくつかの種類に分けられます。発生しやすい場所や、気づきやすいサインも合わせて覚えておくと安心です。
● 脂肪腫(しぼうしゅ)
やわらかく、指でつまむと動くような感触のコロコロしたしこりで、皮膚のすぐ下(皮下)にできます。背中やお腹、脇腹などにできやすく、ゆっくりと大きくなることが多いです。良性腫瘍の代表ですが、大きくなりすぎると違和感や舐め壊しの原因になります。
● 子宮腫瘍(しきゅうしゅよう)
避妊していないメスのうさぎに非常に多く、特に5歳以上での発症率が高くなります。出血、食欲低下、元気がないなどの症状から気づくことが多く、悪性(子宮腺癌)の場合もあります。予防には避妊手術が有効です。
● 乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)
乳腺の周辺(お腹・胸部)にできる腫瘍で、しこりとして触れることもあります。良性の場合もありますが、悪性化した場合には切除が必要になります。
● 皮膚腫瘍(ひふしゅよう)
皮膚表面や皮下にできる腫瘍で、できもののような形で見つかることが多いです。毛が抜けたり、出血したり、潰瘍になる場合もあり、動物病院での検査が必要です。
● その他:口腔内・骨・内臓など
まれに、口の中(歯の根元や顎)や骨、肺・肝臓・腸などの内臓に腫瘍ができることもあります。これらは外からでは気づきにくく、食欲低下や体重減少などの体調変化で発覚するケースが多くなります。
いずれも、日々のスキンシップや様子観察が早期発見のカギになります。皮膚の異常だけでなく、食欲やトイレの変化も見逃さないようにしましょう。
飼い主が気づけるサインとは?日々のチェックポイント
腫瘍は必ずしも痛みを伴うわけではないため、初期の段階ではうさぎ本人が気にしないこともあります。ただし、次のような変化には注意しましょう。
- 体の一部に「コリッ」としたしこりがある
- 左右非対称にふくらみがある
- 同じ場所をよく舐めている
- しこりから出血がある、毛が抜けている
毎日のブラッシングやスキンシップの際に、やさしく全身を触ってみることで、早期の異変に気づくことができます。

こはくの場合:脂肪腫の切除を決意した経緯
我が家のうさぎ「こはく(9歳)」にも、左のお腹側にボールのような脂肪腫がありました。年々少しずつ大きくなっていると感じていましたが、こはくは環境の変化に敏感で、病院に行くとご飯を食べなくなることもあったため、しばらく様子を見る選択をしていました。

しかし、ある時から腫瘍を気にして舐めるようになり、ついには出血する場面も出てきたため、かかりつけの獣医さんと相談して、思い切って切除手術を受ける決断をしました。
費用は5万円ほどと案内されましたが、それよりも「こはくの快適さ」を優先したいという気持ちが大きかったです。高齢ということもあり心配はありましたが、先生の説明や信頼関係が背中を押してくれました。
病院での検査・治療はどんな流れ?
うさぎにしこりや腫れが見つかった場合、まずは動物病院での診察を受けることが第一歩です。以下のようなステップで診療が進められます。
① 触診・視診
まずは獣医師が目視(視診)と手で触れる触診によって、しこりの大きさ・硬さ・位置・可動性(動くかどうか)などを確認します。この時点で「脂肪腫っぽいね」などと予想されることもありますが、確定診断には検査が必要です。
② 細胞診(さいぼうしん)
注射針で腫瘍の細胞を採取し、顕微鏡で観察する検査です。数分で終わる処置で、良性・悪性の見極めに役立ちます。ただし、針が届かない部位や内部の病変は評価できないこともあります。
③ 血液検査・画像検査(レントゲン・エコー)
血液検査では全身の健康状態や麻酔に耐えられるかを確認し、レントゲンやエコー(超音波検査)では腫瘍の内部構造や転移の有無を調べます。特に悪性の可能性がある場合や、内臓に腫瘍がある疑いがあるときに行われます。
④ 治療方針の決定と手術
検査結果をふまえて、経過観察か手術かが判断されます。良性であっても、腫瘍が大きくなって生活に支障がある、舐めてしまって炎症を起こしている、出血がある、などの場合には外科的切除が選択されます。
手術には麻酔が必要となるため、年齢・体重・持病・体調などを総合的に考慮して進めます。手術前には絶食指示が出ることもあり、術後は傷口の管理や投薬が必要になります。
⑤ 術後ケアと通院
術後は患部を舐めたりかじったりしないよう、カラーの装着やケージ内での安静が必要になります。また、数日〜1週間程度の通院(消毒・抜糸)が必要になることもあります。食欲や排便状態などのチェックも大切です。
うさぎは痛みや不調を隠す動物なので、術後もこまめに様子を観察し、不安な点はすぐに獣医師に相談しましょう。
まとめ:腫瘍は珍しくない。早期発見と向き合いが大切
うさぎにとって腫瘍は決して珍しいものではありません。特に中高齢になるとうっすらとした「しこり」が出てくる子も多くいます。良性・悪性にかかわらず、「気になることがあれば早めに動物病院へ」が基本です。
日々のスキンシップの中で、違和感を感じたらすぐ相談することが、うさぎの健康寿命をのばす第一歩になります。
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