うさぎを飼っていると「抱っこができない」「暴れてしまう」「どうしても嫌がる」といった悩みを持つ方は非常に多いです。
特に初めてのうさぎの場合、「抱っこできないのは自分のせい?」と不安に感じてしまうこともあります。
しかし、うさぎは本来、抱っこが得意な動物ではありません。習性として“地面から離されること”に強い恐怖を感じるため、抱っこを嫌がることは自然な反応です。無理に抱っこしようとすると、落下事故やストレスにつながる危険もあります。
我が家のうさぎもタイプが分かれており、こはくは抱っこを強く嫌がり、お腹のあたりをホリホリして抵抗します。そのため、ブラッシングや爪切り、投薬はすべて抱っこなしで行っています。
一方で、ひすいは比較的抱っこに慣れており、抱っこしながら撫でると歯ぎしりをして気持ち良さそうにします。
このように、抱っこへの反応はうさぎの性格や経験によって大きく異なります。本記事では、うさぎが抱っこを嫌がる理由とともに、「抱っこしなくても大丈夫な飼育スタイル」「どうしても必要な場面での安全な抱き方」について詳しく解説します。
うさぎが抱っこを嫌がる主な理由

うさぎが抱っこを嫌がるのには、必ず明確な理由があります。性格の問題ではなく、生まれ持った習性や体の構造、これまでの経験が大きく影響しています。
まずは「なぜ嫌がるのか」という根本を理解することで、うさぎにとって無理のない向き合い方が見えてきます。
地面から離されるのが本能的に怖い
うさぎは、地面から持ち上げられる行為を本能的に「捕まった」「危険」と判断します。
野生下では上から捕食されるリスクが高いため、抱き上げる動作そのものが強い恐怖につながります。
性格と経験による個体差が大きい
同じ家庭でも、抱っこへの反応は大きく異なります。
こはくは抱っこされるとお腹のあたりをホリホリして強く抵抗しますが、ひすいは抱っこされながら撫でられると歯ぎしりをしてリラックスします。
この違いは、性格、慣れ、体格、過去の経験などさまざまな要素が影響しており「抱っこできる=いい子」「できない=悪い子」という考え方には当てはまりません。
無理に抱っこすると事故のリスクが高い
強い拒否を示すうさぎを無理に抱き上げると、落下、骨折、脱臼、爪折れといった重大な事故につながります。抱っこが苦手な子に対しては「無理にしない」という選択自体が安全につながります。
まずは「抱っこを嫌がるのは自然な行動」という前提を理解し、うさぎの反応に合わせた接し方を選ぶことが大切です。
抱っこしなくても大丈夫な理由

うさぎとの生活では「抱っこできないと困るのでは?」と不安になる方も多いですが、実際には抱っこを前提にしなくても問題なく暮らせます。
うさぎの習性や体の負担を考えると、むしろ抱っこを減らした方が安心して過ごせるケースも少なくありません。ここでは、抱っこをしなくても大丈夫といえる根拠を具体的に整理します。
うさぎは抱っこが苦手な動物だから
うさぎは生まれつき抱っこが得意ではありません。多くの子が地面から離されることを怖がるため、抱っこを前提にした飼育は必要ありません。
普段の生活は「床の上で触れ合う」だけで十分に信頼関係を築くことができます。
お世話は抱っこなしでもできる
ブラッシング、爪切り、投薬などは、抱っこを使わずに行う方法が確立されています。
こはくも抱っこが苦手ですが、日常のお世話はすべて抱っこなしで完結しています。
無理に抱っこしないだけで、うさぎのストレスは大きく軽減されます。
信頼関係は抱っこではなく“日々の接し方”で築ける
うさぎとの信頼は、抱っこできるかどうかではなく、毎日の過ごし方で決まります。
優しく声をかける、一緒に遊ぶ、撫でる、安心できる環境を整える――こうした積み重ねの方が、抱っこよりずっと大切です。
必要な場面は限られている
完全に抱っこゼロではなくても、実際に必要な場面は限られています。多くの家庭では、病院に連れて行く時やキャリーに入れる時だけ抱っこが必要です。
ひすいのように抱っこが好きな子は例外ですが、一般的なうさぎは「抱っこは特別な時だけ」が自然なスタイルです。
このように、日常的に抱っこしなくても困ることはほとんどありません。うさぎの個性に合わせて、無理のない距離感で接することが大切です。

抱っこが苦手なうさぎへの安全な接し方

無理に持ち上げようとしない
抱っこが苦手なうさぎに対して最も重要なのは「無理に抱かない」ことです。強引に持ち上げると恐怖が増し、以後ますます抱っこを嫌がる原因になります。
まずは、うさぎ自身が安心できる距離感を尊重することが大切です。
足が滑らない場所で触れ合う
抱っこが必要ない場合でも、お世話やスキンシップは滑りにくい床やマットの上で行う方が安全です。
うさぎは足裏に汗腺がなく滑りやすいため、ツルツルした床ではバタついた拍子に転倒することがあります。
体を下から支える習慣をつける
どうしても持ち上げる場面に備えて、日常の撫でる時間に「胸の下に手をそっと添える」だけの練習をしておくと、抱き上げ時の恐怖が軽減されます。
こはくのように抱っこが苦手な子ほど、補助のような触れ方から慣らす方が負担が少なく済みます。
キャリーへの誘導は抱っこ以外の方法も使う
病院やお散歩の時にキャリーへ入れる場合は、抱っこ以外の方法も有効です。
お気に入りのおやつで誘導したり、ケージとキャリーを直結して自然に移動させる方法を使うことで、抱っこを最小限にできます。
抱っこが苦手なうさぎにとって大切なのは、恐怖を与えないことです。日常の中で「安心できる触れられ方」を積み重ねることで、必要な場面での負担も減らすことができます。

抱っこが必要になる場面と最低限の安全ポイント

普段は抱っこしないご家庭でも、どうしても抱き上げなければいけない状況はあります。
その時だけ、安全に負担をかけずに行えるようにしておくことが大切です。
抱っこが必要になる主な場面
- 病院での診察や処置
- キャリーへの移動(お散歩・通院)
- 緊急時の保護(地震・家具転倒・脱走など)
これらの場面は「できないから困る」というよりも、“できるだけ短時間で終わらせる”ことが最重要です。
最低限おさえておく安全ポイント
- 1. 後ろ足を必ず支える
-
うさぎは後ろ足の蹴りが強く、空中で不安定になるとパニックになります。後ろ足を必ずしっかり支えます。
- 2. 体を胸に引き寄せて密着させる
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体が離れるほど不安が増えるため、持ち上げるときは胸にピタッと密着させる方が落ち着きやすくなります。
- 3. 移動は“ゆっくり・低い姿勢”で
-
抱っこしながら歩く時は腰を落としてゆっくり移動することで、落下時の怪我を防ぎやすくなります。
特にこはくのように抱っこが苦手な子は、上記3つだけできれば十分です。
無理に慣れさせる必要はなく、「必要な時だけ」「短時間で」「安全に」が基本になります。

よくある質問(Q&A)

うさぎの抱っこについては、飼い主さんが不安を感じやすいテーマです。ここでは、抱っこが苦手なうさぎと暮らす上でよく寄せられる質問にお答えします。
こはく・ひすいの実例も交えながら、安心して対処できるポイントをまとめました。
抱っこを嫌がって逃げるのは嫌われているから?
嫌われているわけではありません。本能的に「抱っこ=危険」と感じるための反応です。
抱っこした瞬間にホリホリや蹴りが出るのは?
強い恐怖や不安を感じているサインです。無理に続けず、そっと床に降ろす方が安全です。
抱っこしている時の歯ぎしりは痛いから?
痛みの歯ぎしりは「ギリギリ」と強い音です。ひすいのように「コリコリ」と柔らかい音ならリラックスのサインです。
抱っこしないと懐かないって本当?
誤解です。うさぎは抱っこより、床の上での接し方で信頼関係を築きます。
抱っこしないと病院で困らない?
普段は抱っこなしでも問題ありません。キャリー誘導の工夫があればスムーズに通院できます。
暴れる癖がついたら改善できる?
無理に抱っこする習慣をやめるだけで改善することが多いです。
抱っこが苦手でもハーネス散歩はできる?
可能です。キャリー移動+地面での装着で抱っこは不要です。
抱っこ訓練はした方がいい?
必須ではありません。抱っこが苦手な子は「慣らす」より「無理にしない」方が安全です。
子うさぎのうちなら抱っこに慣れやすい?
個体差があります。子うさぎでも強い恐怖を感じる子は多く、必ずしも慣れやすいわけではありません。
高齢うさぎは抱っこが必要?
むしろ高齢うさぎは骨が弱くなっているため、抱っこは最小限にとどめた方が安全です。
爪切りのために抱っこしたいけどどうすれば?
抱っこなしでの爪切りの方が安全です。テーブルの上で行うなどの方法が一般的です。
通院の時だけ抱っこするのは問題ない?
短時間で、後ろ足を支えて密着させれば問題ありません。「必要な時だけ」で十分です。
まとめ:抱っこできなくても大丈夫。うさぎに合った距離感で

うさぎは本来、抱っこが得意な動物ではありません。
こはくのように強く嫌がる子もいれば、ひすいのように落ち着いて抱っこされる子もいます。
大切なのは「抱っこができるかどうか」ではなく、日々の接し方で安心できる環境を整えることです。普段は抱っこなしでも問題ありません。必要なのは病院やキャリー移動など、ごく限られた場面だけです。
うさぎの性格に合わせて、無理のない距離感で。それが安全でストレスの少ない暮らしにつながります。

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