うさぎは愛らしい反面、体調不良を表に出しにくい、とてもデリケートな動物です。
「昨日まで普通に食べていたのに、今日はなぜか元気がない」「じっとしたまま動かない」――そんな小さな変化が、実は命に関わるサインであることも少なくありません。
この記事では、うさぎを飼っている方が「今すぐ病院に行くべきか?」「少し様子を見ても大丈夫なのか?」を判断できるよう、体調不良のサインと、症状から考えられる代表的な病気を整理して解説します。
実際の飼育経験を踏まえながら、早めに動くことの重要性もあわせてお伝えします。

うさぎの体調不良は「行動の変化」から始まる

うさぎの体調不良は、突然重い症状として表れることは多くありません。多くの場合、「いつもと少し違う」という小さな行動の変化から始まります。
この違和感に早く気づけるかどうかが、その後の回復を大きく左右します。
うさぎは本能的に弱っている姿を隠す動物です。見た目が落ち着いているように見えても、体の中では病気が進行していることがあります。
毎日チェックしたい基本の3項目
うさぎの健康状態を判断するうえで、飼い主が毎日確認すべきポイントは多くありません。基本となるのは次の3つです。
- しっかり食べているか
- 排泄(うんち・おしっこ)が出ているか
- 普段通りに動いているか
「いつもと違う」が出た時点で注意が必要
この3点のうち、どれか一つでも「いつもと違う」と感じた場合は注意が必要です。
「少し元気がないだけ」「明日には戻るかもしれない」と判断してしまいがちですが、うさぎの場合、その“様子見”が取り返しのつかない結果につながることもあります。
この症状が出たら要注意【緊急度別】

うさぎの体調不良は、症状の出方によって「緊急性」が大きく異なります。
ここでは、行動や見た目の変化をもとに、今すぐ病院に行くべき状態と早めに受診を検討すべき状態を整理します。
今すぐ病院へ行くべきサイン
次の症状が一つでも当てはまる場合、様子見は避け、できるだけ早く動物病院を受診してください。
- 半日以上まったく食べない、飲まない
- ぐったりして動かず、呼びかけにも反応が鈍い
- 首が傾いたまま戻らない、同じ方向に回り続ける
- 呼吸が荒い、口を開けて呼吸している
- 強い痛みを示す行動(歯ぎしり、体を丸めて動かない)
これらは、うっ滞・ショック・神経系疾患など、命に直結する状態である可能性があります。
半日〜1日以内に受診を考えるサイン
緊急性はやや低く見えても、放置すると悪化しやすい症状です。
- 食欲が明らかに落ちている
- うんちの量が減っている、形が小さい
- 涙や鼻水が続いている
- 動きが少なく、寝ている時間が増えた
- 抱っこしたときに体が熱すぎる、または冷たい
この段階で受診できれば、重症化を防げるケースも多くあります。
様子見が可能なケースと注意点
一時的な環境変化などで元気が落ちることもありますが、様子見には必ず「限界時間」を決めてください。
- 環境の変化(掃除・来客)直後で、短時間で回復する
- 食欲が一時的に落ちても、数時間で戻る

症状から考えられる代表的な病気

うさぎの体調不良は、症状の現れ方によって、ある程度考えられる病気を絞ることができます。
ここでは「診断」を行うのではなく、受診判断の補助として、症状と関連しやすい代表的な病気を整理します。
食べない・動かないときに疑われやすい病気
食欲低下や無気力は、うさぎの体調不良で最も多く見られるサインです。
- 胃腸うっ滞・毛球症
- 腸閉塞
- 強いストレスによるショック状態
特にうっ滞は初期症状が分かりにくく、「少し元気がない」段階で進行していることもあります。
食べない状態が続く場合は、消化器系の異常を前提に考える必要があります。

口・顔・目まわりに異常が出る場合
顔まわりの異変は、歯や涙の通り道が関係していることが多いです。
- 不正咬合(奥歯・前歯)
- 流涙症・鼻涙管閉塞
- 歯根が原因の目の炎症
よだれ、食べこぼし、涙が止まらないといった症状は、見た目以上に進行しているケースもあります。
呼吸や動き方に違和感がある場合
くしゃみや鼻水、首の傾きなどは、呼吸器や神経系の異常が関係している可能性があります。
- スナッフル(呼吸器感染症)
- 斜頸
- エンセファリトゾーン感染症
特に首の傾きや旋回行動が見られる場合は、緊急性が高く、早急な受診が必要です。

動物病院では実際に何をされるのか?

「病院に行ったほうがいいのは分かるけど、何をされるのか分からず不安」そう感じて受診を迷ってしまう方も少なくありません。
ここでは、うさぎが体調不良で受診した際に、一般的に行われる対応を整理します。
まず確認される基本チェック
初診時、獣医師は次のような点を重点的に確認します。
- 食事量・排泄状況・行動の変化
- 体温・脱水の有無
- お腹の張りや腸の動き
- 歯・口腔内・目・鼻の状態
これらは、飼い主からの聞き取りと身体チェックを組み合わせて行われます。
日頃の様子を具体的に伝えることが、正確な判断につながります。
体調不良で多い処置内容
うっ滞や食欲不振など、比較的よく見られるケースでは、以下の処置が行われることがあります。
- 点滴による脱水の改善
- 腸管運動を促す薬や鎮痛薬の投与
- 食事が取れない場合の強制給餌
症状や状態によっては、レントゲン検査や血液検査を行い、原因を詳しく調べることもあります。
早めに受診するメリット
軽い段階であれば通院のみで済むケースでも、受診が遅れると入院や長期治療が必要になることもあります。
「念のため」の受診が、結果的にうさぎの負担を減らすことにつながる点は、知っておきたい重要なポイントです。
実例から分かる「早く動くこと」の重要性

うさぎの体調不良は、教科書的な知識だけでは判断が難しい場面も多くあります。
ここでは、実際の飼育経験をもとに、「早く動いたことで防げたケース」を紹介します。体験談はあくまで一例ですが、判断の目安として参考になります。
こはくのうっ滞・腸閉塞の経験

こはくは、ある日を境に食事をほとんど口にしなくなり、じっとしたまま動かなくなりました。
見た目は大きな異変がないように感じましたが、「食べない」という一点が気になり、その日のうちに夜間対応の動物病院を受診しました。
診断は、うっ滞と腸閉塞の初期段階でした。すぐに点滴と投薬による処置を受けたことで、症状は大きく悪化することなく回復しています。
この経験から強く感じたのは「うさぎが食べない状態は、様子見してはいけない」という事実でした。
ひすいのエンセファリトゾーン疑い

ひすいをお迎えした直後、目に白っぽい異変が見られました。元気や食欲はありましたが、念のため病院で診てもらったところ、エンセファリトゾーン感染症の可能性が指摘されました。
すぐに内服薬による治療を開始し、1週間ほどで症状は落ち着きました。もし「元気そうだから」と受診を先延ばしにしていた場合、神経症状へ進行していた可能性も否定できません。
どちらのケースも共通しているのは、「迷った段階で病院へ行ったことが結果的に正解だった」という点です。
うさぎの診察・治療費用の目安
うさぎを病院に連れて行く際、あらかじめ「どのくらいかかるのか」を知っておくことで、受診のハードルは大きく下がります。
動物医療は自由診療のため金額は一律ではありませんが、よくある診察・治療内容については、おおよその相場感を持つことが可能です。
以下は、日本国内の動物病院で一般的に見られる料金例をもとに整理した目安です。
| 項目 | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 初診料 | 問診・基本的な身体チェック | 2,000〜3,500円前後 |
| 再診料 | 経過観察・追加診察 | 1,000〜2,500円前後 |
| 血液検査 | 炎症・内臓・脱水状態の確認 | 5,000円前後 |
| レントゲン検査 | 胃腸・歯・骨・内臓の確認 | 7,000〜10,000円前後 |
| 内科治療(軽度) | 投薬・簡単な処置 | 3,000〜5,000円前後 |
| 内科治療(うっ滞など) | 点滴・投薬・強制給餌 | 5,000〜20,000円前後 |
| 歯の処置 | 不正咬合の歯切り・調整 | 数千円〜10,000円前後 |
| 入院費 | 点滴管理・経過観察(1日) | 4,000〜5,000円前後 |
| 外科手術 | 麻酔を伴う処置・重症例 | 数万円〜20万円以上 |
費用面の不安から迷っている間に症状が悪化してしまうこともあるため、「迷った時点で一度診てもらう」という判断が、結果的にうさぎと飼い主双方の負担を軽くすることにつながります。

日常でできる体調不良の予防

うさぎの病気は、完全に防げるものばかりではありません。しかし、日々の飼育環境や生活習慣を整えることで、発症リスクを下げたり、異変に早く気づいたりすることは可能です。
食事管理の基本は「牧草中心」
うさぎの健康維持において、食事は最も重要な要素の一つです。
- 主食はチモシーなどの牧草を中心にする
- ペレットは補助的に量を管理して与える
- 食べ残しや食欲の変化を毎日確認する
牧草をしっかり食べることは、うっ滞や不正咬合の予防にもつながります。
水分・運動・換毛期ケア
食事以外にも、体調管理で意識したいポイントがあります。
- 新鮮な水をいつでも飲める状態にする
- 毎日へやんぽの時間を確保する
- 換毛期はこまめにブラッシングを行う
特に換毛期は、毛球症やうっ滞のリスクが高まるため注意が必要です。
温度・湿度の管理
うさぎは暑さにも寒さにも弱い動物です。
- 室温はおおよそ20〜25℃を目安に保つ
- 湿度は40〜60%を意識する
- エアコンの風が直接当たらないようにする
環境管理は、呼吸器疾患や熱中症の予防にも直結します。
まとめ|迷ったら早めに動くことが、うさぎの命を守る

うさぎは体調不良を隠す動物です。そのため、「なんとなく元気がない」「少し様子が違う」と感じた時点で、すでに体の中では異常が進んでいることもあります。
食べない、動かない、排泄量が減る、目や鼻に異変がある――こうした変化は、どれも見過ごしてはいけない重要なサインです。
病院に行くか迷う気持ちは自然ですが、迷った時点で受診する判断は、決して早すぎることはありません。
こはくやひすいの経験からも、早期発見・早期対応が、回復と命を守る結果につながりました。
この記事が、あなたとうさぎさんの毎日を安心して過ごすための判断材料になれば幸いです。

コメント