うさぎの体調は、驚くほど急変します。
我が家の愛うさぎ「こはく」も、ある日突然動かなくなり、病院へ駆け込むことに。診断されたのは腸閉塞(ちょうへいそく)。
そのときの治療費は約4万円――。この出来事をきっかけに、ペット保険の必要性について本気で考えるようになりました。
この記事では、実体験をもとに、
- 腸閉塞の症状や治療法
- 実際にかかった医療費
- ペット保険のメリット・デメリット
をリアルにお伝えします。
胃拡張ではなく腸閉塞だった
ある晩、こはくが突然じっと丸まって動かなくなりました。食欲もなく、水も飲まない。明らかに様子が変だったため、翌朝すぐに動物病院へ駆け込みました。
レントゲンと血液検査の結果、診断されたのは「腸閉塞」。うさぎに多い「うっ滞(うったい)」や「胃拡張」とは異なる、より重篤な状態です。

■うっ滞・胃拡張・腸閉塞の違い
状態 | 原因 | 主な症状 | 緊急性 |
---|---|---|---|
うっ滞 | ストレス・食欲低下・換毛期など | 食欲不振、元気がない、糞が少ない | 中程度(早期治療が必要) |
胃拡張 | ガスや食べ物が胃にたまる | お腹が膨らむ、動かない、食べない | やや高(進行すると危険) |
腸閉塞 | 毛玉・異物・腫瘍などで腸が詰まる | 激しい痛み、ショック状態、糞が完全に出ない | 非常に高い(命に関わる) |
こはくの場合、レントゲンで胃に大量のガスが1カ所に大きくたまり、本来腸へ流れていくはずのガスが通過できず滞っている状態が見られました。これは単なる胃拡張ではなく、腸がどこかで完全に詰まっている=腸閉塞の疑いが強いとのことでした。
腸閉塞は、放置すると短時間でショック状態や多臓器不全に陥ることもあり、命に関わる非常に危険な疾患です。うさぎは痛みを我慢してしまう動物なので、早期発見・早期治療が何よりも大切です。
治療法と選択
診断後、先生から説明されたのは大きく2つの治療法です。
■1. 内科的治療(点滴・投薬での対応)
まず提案されたのは、内科的なアプローチで腸の動きを回復させる治療でした。これは主に以下の方法で行われます:
- 皮下点滴:首の後ろなどに点滴液を注入。吸収までに時間がかかるが、体への負担は少なめ。
- 静脈点滴:前足や後足の血管から直接点滴を入れる方法。即効性があり、水分・電解質の補給が効率的に行える。
- あわせて、腸の動きを促す薬や鎮痛剤を併用。
効果的ではあるものの、改善には時間がかかるケースも多く、こまめな経過観察が必要です。
■2. 外科的治療(手術)
もう一つの選択肢が、全身麻酔を用いた外科的処置です。腸閉塞の原因が異物や毛球である場合、開腹手術で取り除くことも選択肢となります。
ただし、うさぎは麻酔のリスクが高く、特に体力が落ちている状態では命の危険を伴うため、緊急時以外はできるだけ回避されます。
■こはくのケース:静脈点滴+半日入院を選択
こはくの場合、全身状態や年齢を考慮した結果、静脈点滴による内科的治療+半日入院という方法を選びました。

仕事の都合で長時間の看病が難しかったこともあり、入院中にこまめに点滴と薬を投与してもらえる環境はとても安心できました。
麻酔のリスクを避けつつ、最短で回復を目指せる方法を選べたのは、診断の早さと先生の判断力のおかげだったと感じています。
回復と感動の瞬間
夜、病院に迎えに行った妻が送ってくれた写真には、こはくが布団の上にぴょんと飛び乗る姿が写っていました。
しばらく排泄がなかったこはくの💩もしっかり確認でき、腸が再び動き始めた証拠に安心感がこみ上げました。

実はこはくは、過去にも何度かうっ滞で夜間救急や病院へ駆け込んだことがあり、そのたびに点滴を受けると翌日には少しずつチモシーを食べ出し、動き出すことが多くありました。
今回もそのときと同じように、静脈点滴の翌朝にはごく自然に牧草に口をつける姿が見られ、少しずつ活動量も戻ってきました。まだ本調子ではないものの、表情や行動のひとつひとつに「生きようとする力」が宿っていて、その姿には何度見ても心を打たれます。
ボールをちょんと前足で転がし始めた瞬間、ようやく「大丈夫、また一緒に過ごせる」と実感できました。
実際にかかった費用は約4万円
今回の診察、レントゲン・血液検査、静脈点滴、半日入院を含めた治療費は、合計で約4万円ほどかかりました。
我が家ではちょうど生活防衛費の積立を始めたばかりで、急な4万円の出費は家計にとって正直かなりの痛手でした。もちろん、こはくの命には代えられませんし、迷わず病院に連れて行ったことに後悔はありません。
ただ、治療後にふと感じたのが、「もしペット保険に入っていたら、もう少し気持ちに余裕が持てたかもしれない」という思いでした。
しかし、現実はそう甘くありません。実はこはくはすでに高齢のうさぎで、加入可能年齢の上限を過ぎていたため、新規で保険に入ることができませんでした。
ペット保険には、種類やプランにもよりますが、うさぎの場合3歳〜5歳未満くらいで新規加入受付が締め切られてしまうものがほとんどです。加入を検討するなら、若いうちがチャンスであることを今回あらためて痛感しました。
リチャードソンジリスのライは若いうちにアニコムに加入していたため、過去に病気になった際にも治療費の7割が補償され、大きな安心につながりました。ペット保険に入って助かった実体験については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
ペット保険の必要性を本気で考える
うさぎを含むペットには、人間のような健康保険制度がありません。つまり、どんな診察・治療でもすべて自己負担になります。
今回のこはくの腸閉塞では4万円の出費となりましたが、症状によってはさらに高額になるケースもあります。治療の選択肢がある中で、「金額のことを考えて迷う」――そんな場面に直面することも少なくありません。
だからこそ、金銭的な不安を和らげてくれるペット保険の存在が気になるのは当然のことです。実際に我が家でも、リチャードソンジリスのライが病気で通院・手術をした際に、アニコムの保険で7割が補償されて本当に助かった経験があります。
ペット保険のメリットには以下のような点があります:
- 突然の病気やケガでも医療費の大半が補償される
- 高額な治療も選びやすくなる
- 家計への不安が軽減される
一方で、デメリットも存在します:
- 月々の保険料が発生する(年齢とともに上がる場合あり)
- 加入時に年齢や既往歴の制限がある
- 補償されない処置や対象外の病院がある
これらを踏まえた上で、「自分とペットにとって何が一番安心か」をじっくり検討することが大切です。ペット保険の必要性や選び方のポイントについては、こちらの記事でより詳しく解説していますので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
我が家の選択:保険+積み立て
今回の経験を通して、我が家では「このまま何も備えずに過ごすのは不安すぎる」と感じるようになりました。
本当はこはくにもペット保険をかけたかったのですが、前述の通り年齢制限で加入ができない状態。それでも、何かしらの形で備えなければという思いから、我が家では次の2つを同時に実行することにしました:
- ① ペット保険の情報を徹底的に調べ、若いうちから加入すべきだと再認識
ライ(リチャードソンジリス)の保険加入が大きな支えとなった経験を踏まえ、今後迎える可能性のある子たちには、早期加入を検討する方針に。 - ② 毎月「こはく用」の医療費積立をスタート
急な通院・検査・入院に備え、家計とは別に予備費をコツコツ貯めることに。保険に頼れない今だからこそ、できる備えをしておきたいと思いました。
100%の安心は得られなくても、「備えている」という事実が気持ちの支えになります。そして、次に“もしも”が起こったとき、落ち着いて行動できる選択肢が広がると感じました。
回復後の食事事情とおすすめ
治療後、こはくはしばらく普段食べていたペレットをまったく口にしなくなりました。体力が落ち、食欲も戻らない姿を見るのはとても不安でした。
そんな中で少しずつ口にしてくれたのが以下のフードです:
- チモシー:うさぎの主食。最初は食いつきが悪かったのですが、柔らかめの2番刈りを短くして与えると、少しずつ食べ始めました。
- えん麦:嗜好性が高く、回復初期の“きっかけ食”として活躍。ひすいも大好きなおやつです。
- うさぎの極み:非常時用に常備していた香りの強いペレット。食欲がない時期でもこれには少し反応してくれて、本当に助かりました。
ご飯を口にしてくれるという小さな変化が、回復への確かな兆しとなり、私たち家族にとっても大きな希望でした。
なお、うさぎの健康維持には日々の食事管理がとても重要です。以下の記事では、食事に関する注意点や、季節ごとの体調変化への対応法を詳しく紹介しています。
「食べること」は命をつなぐ第一歩。好みや体調に合わせたフード選びは、飼い主にとっての大切なケアのひとつだと感じています。
まとめ:いざという時に備えることが大切
うさぎは本当に繊細で、体調が急変しやすい動物です。今回の腸閉塞のように、朝は元気だったのに夜にはぐったりしているというケースも決して珍しくありません。
そんな時、すぐに病院に連れて行けるかどうか、迷わず治療を受けさせられるかどうかは、日頃の備えにかかっています。
今回の経験から、私たちが「これは大切」と感じた備えは以下の通りです:
- お腹の張りや💩の状態、食欲の有無を毎日チェックする
- うさぎやエキゾチックアニマルを診てくれる病院は必ず探しておく(特に夜間・休日の対応の有無も)
- ペット保険に入れない年齢の場合は、医療費の積立をしておく
- 普段から食べ慣れている“非常時でも口にしやすいフード”を常備する
特に、うさぎやジリスなどを診てくれる病院は限られていることも多いため、早めに候補を見つけておくことが何よりも大切です。突然の体調不良のときに「どこへ連れて行けばいいか」がすぐにわかるだけで、心の余裕がまったく違います。
病気やトラブルを完全に防ぐことはできません。でも、“何かあったときに慌てないための準備”は、きっと誰にでもできるはずです。
そして、回復したこはくの姿に「日常ってこんなにもありがたいんだ」と、改めて気づかされました。
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