「リチャードソンジリスをもう1匹迎えたいけど、多頭飼いは可能なの?」
そんな疑問を持つ飼い主さんは少なくありません。リチャードソンジリスは野生では群れで暮らすため、一見すると多頭飼いに向いているように思えます。しかし、実際の飼育環境では縄張り意識や発情期の影響から、必ずしも仲良く暮らせるとは限りません。
本記事では、リチャードソンジリスの多頭飼いについて、メリット・デメリット・注意点を詳しく解説するとともに、実際に多頭飼いを試みた飼い主さんの体験談をご紹介します。これから複数飼育を検討している方に、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

リチャードソンジリスは多頭飼いできる?基本的な考え方

リチャードソンジリスは草原に巣穴を掘り、群れで暮らす習性を持っています。そのため「多頭飼いに向いているのでは?」と考える方も多いでしょう。
しかし、家庭での飼育環境では事情が異なります。
ケージという限られた空間では縄張り意識が強くなり、特にオス同士では激しいケンカに発展しやすい傾向があります。流血や重傷に至るケースも報告されており、最悪の場合は命に関わる危険もあるのです。
一方で、メス同士は比較的相性が良いとされ、幼い頃から一緒に育った個体であれば仲良く暮らせることもあります。ただし、必ずしも成功するとは限らず、途中で関係が悪化して別居が必要になるケースも珍しくありません。

リチャードソンジリスを多頭飼いするメリットとデメリット

メリット
- 仲間意識が生まれる:一緒に過ごすことで毛づくろいをしたり、寄り添って眠る姿が見られることがあります。
- 寂しさを感じにくい:飼い主が留守にしても仲間がいることでストレスが軽減される場合があります。
- 行動が活発になる:相手の存在が刺激となり、運動量や遊びが増える傾向があります。
- 社会性が育まれる:子どもの頃から一緒に育つと、コミュニケーション能力が発達しやすいといわれます。
- 観察の楽しみが増える:単頭飼いでは見られない「じゃれ合い」や「関わり合い」の行動が楽しめます。
デメリット
- ケンカのリスクが高い:特にオス同士では縄張り争いが激しく、流血沙汰になることもあります。
- 発情期の問題:普段は仲良くても、発情期には急に攻撃的になりやすく、別居が必要になる場合があります。
- 病気や寄生虫が広がりやすい:同じケージで暮らすと、1匹が感染すると一気に全体へ広がる危険があります。
- 広いスペースと費用が必要:1匹でも60cmケージが理想とされるため、多頭飼いでは120cm以上が望ましく、飼育グッズも倍必要になります。
- 個体差による相性問題:性格により仲良くできない場合があり、途中から完全別居になることも珍しくありません。
このように、多頭飼いには魅力もありますが、同時に大きなリスクと負担が伴います。特に初心者の方には単頭飼いが安心といえるでしょう。

リチャードソンジリスを多頭飼いする際の注意点

どうしても多頭飼いを試みる場合には、以下のような点に十分注意する必要があります。単なる「一緒に入れる」だけではなく、飼育環境や予備の準備をしっかり整えることが大切です。
1. 性別の組み合わせに注意する
オス同士はほぼ不可能といわれるほど争いが絶えません。メス同士なら相性が良いケースもありますが、必ずしも安心とは限りません。オス+メスの組み合わせは繁殖のリスクがあるため、飼い主が繁殖を望まない場合は避けるべきです。

2. 広い飼育スペースを確保する
1匹につき60cmケージが推奨されているため、多頭飼いなら最低でも120cm以上の広さが必要です。狭いケージはストレスの原因となり、ケンカの引き金になりやすくなります。

3. 別ケージを必ず用意しておく
仲良く過ごしていても、発情期やちょっとしたきっかけで急に関係が悪化することがあります。そのため、すぐに隔離できるように予備のケージを必ず準備しておくことが重要です。
4. 発情期は特に注意する
発情期には普段温厚な個体でも気性が荒くなります。急なケンカが起きた場合、無理に同居を続けるのは危険です。この時期は完全に分けて飼うほうが安全といえるでしょう。

5. 定期的な健康チェックを徹底する
多頭飼いでは病気や寄生虫が一気に広がる可能性が高いため、日常的に体調を確認する習慣が欠かせません。食欲や排泄、体重変化などをしっかり記録しておくと安心です。

多頭飼いと繁殖のリスクについて

リチャードソンジリスをオスとメスで一緒に飼う場合、必ず繁殖のリスクが生じます。ジリスは一度に4〜10匹の赤ちゃんを産むこともあり、想定外の数が生まれると飼育スペースや費用が追いつかなくなるケースもあります。
繁殖期は春先(2月〜4月頃)に限られ、しかも発情のタイミングは短く、家庭での飼育下では必ずしも成功するとは限りません。日照時間や気温に左右されやすく、交尾のチャンス自体が非常に限られるため、繁殖は難しいのが実情です。
仮に繁殖できても、母体が小さいため出産は大きな負担となり、体調を崩すリスクも高まります。そのうえ短期間で複数回の妊娠・出産を繰り返すと、寿命を縮める可能性さえあります。
このように、リチャードソンジリスの繁殖は期間が短く難易度が高いものです。専門知識と準備を持つブリーダー以外にはおすすめできず、一般の飼い主が安易に多頭飼いから繁殖を狙うのは避けるべきといえるでしょう。

まとめ:リチャードソンジリスの多頭飼いは慎重に

リチャードソンジリスは野生では群れで暮らす習性を持っていますが、家庭での多頭飼いには大きなリスクが伴います。特にオス同士は激しいケンカに発展することが多く、初心者には単頭飼いがもっとも安心といえるでしょう。
どうしても多頭飼いを検討する場合は、以下の点をしっかり押さえておく必要があります。
- 性別の組み合わせを慎重に考える(特にオス同士は避ける)
- 広いスペースと十分な飼育環境を確保する
- すぐに別居できる予備ケージを用意しておく
- 発情期には必ず注意し、必要なら隔離する
- 体調変化やケンカの兆候を日々観察する
飼い主として大切なのは、リチャードソンジリスの安全と健康を最優先に考えることです。
結論として、リスクを理解し十分な準備ができる場合にのみ挑戦し、それ以外は単頭飼いが最も安心できる飼育方法といえるでしょう。
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