「うさぎも風邪をひくの?」
「くしゃみしてるけど大丈夫かな…?」
そんな不安を感じたことはありませんか?
うさぎは人間のような“ウイルス性の風邪”にはかかりませんが、実は細菌による呼吸器感染症を起こすことがあります。放置すると肺炎や中耳炎に悪化するケースもあり、早めの対処がとても大切です。
この記事では、獣医師監修の資料をもとに、
うさぎが風邪をひいたように見えるときの症状・原因・治療・予防法を詳しく解説します。

うさぎは風邪をひくの?

主な原因はパスツレラ菌(Pasteurella multocida)で、他にもボルデテラ菌などが関係する場合があります。
つまり「風邪」というよりも、細菌性の感染症です。
人間の風邪ウイルスがうさぎにうつることはありませんが、うさぎ同士で感染が広がることはあります。
体調が良いときは免疫で抑えられますが、ストレスや寒暖差、環境の変化などで抵抗力が落ちると、症状が現れるようになります。
うさぎの風邪(スナッフルズ)の主な症状

うさぎが風邪をひいたときに見られる主な症状は、次のようなものです。
- くしゃみを頻繁にする
- 透明〜白い鼻水が出る
- 鼻のまわりの毛が濡れて固まっている
- 呼吸時に「ズズッ」「プスプス」と音がする
- 涙が増える、目ヤニが出る(鼻涙管炎の併発)
- 食欲が落ちる、元気がない
うさぎは口呼吸ができない動物のため、鼻づまりになると息苦しくなり、エサを食べなくなります。
その結果、腸の動きが止まる「うっ滞(胃腸の停滞)」を起こすリスクが高まります。
よくある症例と注意点
動物病院では次のようなケースが多く見られます。
- 季節の変わり目に温度管理を誤って発症
- エアコンの風がケージに直接あたっていた
- 多頭飼いで感染がうつった
- 掃除不足でほこりやアンモニア臭が強かった
- 引っ越しや通院などのストレスで免疫が低下していた
くしゃみが続く・鼻が詰まっている・食欲が落ちた、こうした変化が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。
動物病院での治療内容

うさぎがスナッフルズ(上部気道感染症)と診断された場合、治療は抗生物質と支持療法が中心になります。
主な治療の流れ
① 抗菌薬の投与
パスツレラ菌やボルデテラ菌など、原因菌に有効な抗生物質を内服または注射で投与します。薬の種類や期間は症状の重さによって異なります。
② 吸入・ネブライザー療法
鼻づまりがひどい場合は、薬剤を霧状にして吸わせることで呼吸を楽にします。
③ 点鼻・点眼治療
目や鼻涙管に炎症がある場合、抗菌薬入りの点鼻薬や点眼薬を使用することがあります。
④ 支持療法
食欲不振時には、皮下点滴や胃腸の動きを助ける薬を併用します。うっ滞を防ぐために、流動食を与えることもあります。
治療期間は数日〜数週間と幅があります。
うさぎの免疫力や生活環境によって再発しやすいこともあり、完治まで根気よく通院することが大切です。
自宅でのケアと注意点
- 処方薬は自己判断で中止しない
- 部屋の温度を20〜24℃、湿度を40〜60%に保つ
- ケージを清潔にし、ホコリ・毛・アンモニア臭を抑える
- エアコンの風が直接当たらないようにする
- 食欲が落ちているときは強制給餌を検討(獣医師の指導のもとで)
うさぎの風邪を防ぐための予防法

うさぎの風邪(スナッフルズ)は、一度発症すると再発しやすい病気です。
日頃から環境を整え、免疫力を維持することが何よりの予防になります。
温度・湿度を一定に保つ
理想は20〜24℃、湿度40〜60%前後。急な温度変化は避けましょう。
直風を避ける
エアコンやサーキュレーターの風が直接ケージに当たらないようにします。
清潔な環境を維持
ケージ内のホコリやアンモニア臭を定期的に除去。床材やトイレ砂の交換もこまめに行います。
ストレスを減らす
急な環境変化や過度な抱っこ、騒音などを避け、安心できるスペースを確保します。
食生活を整える
牧草を中心に、適量のペレットと新鮮な水を常に与えることで免疫を支えます。
多頭飼育では感染防止
くしゃみや鼻水のあるうさぎは隔離し、同じ器具を共用しないようにします。
これらを意識するだけでも、呼吸器疾患のリスクは大幅に下げられます。
季節ごとの注意ポイント
- 冬:冷気や乾燥で鼻粘膜が弱まりやすいため、保温+加湿を意識。ヒーターの直風に注意。
- 春・秋:気温差が激しく、換毛期のストレスも加わる時期。換毛で抜け毛が多いときは掃除をこまめに。
- 夏:冷房による冷えすぎや、外気との温度差で体調を崩しやすい時期。冷気が直接当たらないように。
特に換毛期と季節の変わり目は、体調を崩す子が非常に多いです。
「いつもよりくしゃみが多い」「鼻の下が濡れている」など、ちょっとした変化に早めに気づくことが何より大切です。
まとめ

うさぎは人間のようなウイルス性の風邪にはかかりませんが、細菌性の上部気道感染症(スナッフルズ)を発症することがあります。
主な原因菌はパスツレラ菌で、くしゃみや鼻水、食欲不振といった症状が見られたら要注意です。
放置すると肺炎や中耳炎などに進行するおそれがあり、早期治療が重要になります。
予防には、
・温度と湿度の安定した飼育環境
・清潔なケージ
・ストレスの少ない生活
が欠かせません。
もし「少し様子がおかしい」と感じたら、すぐに動物病院で診てもらうことをおすすめします。
早期発見・早期治療が、うさぎの健康を守るいちばんの近道です。
かわいいうさぎにいつまでも元気でいてもらうために、
日々の観察と環境づくりを大切にしていきましょう。

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