リチャードソンジリスの発情期は、いつも穏やかな子でも行動や食欲が大きく変わりやすく、飼い主の皆様が最も戸惑いやすい時期です。
普段は喜んで食べるペレットやおやつを残したり、落ち着きがなくなったり、急に攻撃的な仕草が増えたりと、見慣れない変化が続くこともあります。
食欲の低下は特に心配が大きく、「体調を崩しているのか」「病院に連れて行った方が良いのか」など、判断に迷いやすいポイントでもあります。
しかし発情期特有の生理的な変化が関係しているケースも多く、理由を理解しておくことで落ち着いて対処できるようになります。
本記事では、発情期に食欲が落ちる原因と、少しでも負担を軽くするための環境づくりやおやつの工夫などを、飼い主目線で丁寧にまとめています。現在お困りの方や、これから迎える発情期に備えたい方の参考になれば幸いです。
発情期に見られる主な変化と特徴

特に男の子では顕著で、落ち着きのなさや匂いの強さなど、飼い主が「いつもと違う」と感じる場面が増えるのが特徴です。
代表的な変化としては、以下のような行動が多くの家庭で確認されています。
- 縄張り意識が強まり、ケージ周辺を走り回る回数が増える
- 匂いつけの頻度が上がり、体臭が強くなる
- 飼い主の手を噛もうとする・威嚇行動が増える
- 興奮しやすく、呼吸が荒くなる場面がある
- 普段より休む時間が短くなる・落ち着きがなくなる
これらの変化は一時的なもので、ホルモンバランスが整うと徐々に落ち着いていきます。
ただし、この時期は普段以上にストレスを感じやすいため、環境を刺激しすぎないことが大切です。
まずは「発情期にはこうした変化が起きやすい」という前提を知り、冷静に見守ることが対処の第一歩となります。
食欲低下が起こる理由

普段は真っ先にペレットへ向かう子でも、発情期になると急に食べる量が落ちたり、大好きなおやつまで残してしまうことがあります。
この変化には、発情期特有の生理的な影響が大きく関係しており、必ずしも病気とは限りません。
主な理由として、以下のような要因が挙げられます。
ホルモンの大幅な変動
発情期はホルモン分泌が活発になり、食欲を司る脳の働きにも影響が出ます。
その結果「空腹を感じにくい」「食べ始めてもすぐ満足する」といった状態が起こりやすくなります。
興奮状態が続くことで落ち着いて食べられない
発情期の個体は常に周囲へ意識を向けやすく、ケージ内を走り回ったり匂い付けをしたりと活動量が増えがちです。落ち着けない時間が多いほど、食事に集中できず摂取量が減ってしまいます。
ストレスによる消化機能の低下
発情に伴うイライラや緊張が消化器に影響し、普段より消化スピードが落ちる場合があります。
「たくさん食べる気にならない」という状態になり、いつもより食い付きが悪くなることがあります。
睡眠リズムの変化
発情期は興奮しやすく、休む時間が短くなることがあります。
睡眠不足は体温調節や食欲にも影響し、食べるタイミングそのものが乱れやすくなります。
これらの要因が重なることで、発情期の食欲低下は自然に起きることがあります。
とはいえ、いつもの量を大幅に下回る状態が長期間続くと体力が落ちる原因にもなるため、早めの対策が重要になります。
発情期のストレスを減らすための対策

発情期はホルモンの影響で情緒が不安定になり、普段より刺激を受けやすい時期です。
そのため、環境や飼い方を少し調整するだけでも落ち着きやすくなり、食欲低下の緩和にもつながります。
特に次のような対策は、多くのご家庭で効果が実感されている方法です。
ケージ周りの刺激を減らす
物音や視覚的刺激が多い環境は興奮をさらに高める原因になります。
ケージの位置を静かな場所へ移動したり、視界を遮る布を半分だけ掛けて安心感を与える方法が有効です。
部屋んぽ時間を短めにして様子を見る
いつもより興奮しやすい時期は、長時間の部屋んぽが逆にストレスになることがあります。
10〜15分など短い時間を複数回に分ける方が落ち着きやすく、噛みつきや突進行動の予防にもつながります。
匂いの変化に気をつける
発情期は嗅覚が敏感になり、急な環境の匂い変化に強く反応することがあります。
洗剤や柔軟剤の香りが強い布類の使用を避け、ケージ内のレイアウト変更も最小限にとどめるのがおすすめです。
落ち着ける寝床を維持する
発情期でも「安心して休める場所」があると興奮が少し和らぎます。
いつも使っている巣材・クッション・毛布は極力そのままにし、匂いが残る環境を整えることでリラックスにつながります。
過度に構わず距離を保つ
飼い主が触れようとすると逆に興奮が強まるケースもあります。
発情期は「必要以上に構わない」「撫でるのは本当に落ち着いている時だけ」など、距離感を変えることが重要です。
上記の対策はどれも難しいものではありませんが、発情期の負担を大きく減らしてくれるポイントです。
環境を整えることで落ち着ける時間が増えれば、食欲の回復にもつながりやすくなります。
発情期でも食べやすかった実際のおやつ

発情期はホルモンの影響で落ち着かず、普段のペレットをそのまま残してしまうことがあります。
そんな中でも「これなら食べてくれた」という実際のおやつを紹介します。
どれも発情期の負担が少なく、少量でもエネルギー補給につながる点が共通しています。
ライが食べた実例としてまとめていますが、他のリチャードソンジリスにも比較的使いやすい内容です。
小松菜
新鮮な葉は香りが控えめで、噛む負担が小さいため発情期でも口にしやすい野菜です。
水分量も適度に含まれるため、食欲が落ちている時でも自然に水分補給ができ、体調維持に役立ちます。
葉の柔らかい部分を少量ずつ与えると食べるきっかけになります。
ミルワーム(乾燥または生タイプ)
動物性たんぱく質が豊富で、香りと旨味が強いため、発情期でも食いつきが良いおやつの代表格です。
乾燥タイプは保存がしやすく、1粒あたりのカロリー量も把握しやすいため管理が簡単です。
生タイプはより香りが強く、確実に食べてほしい時の「最後の一押し」として活躍します。
高カロリーのため、1〜2匹を目安に抑えるのが安心です。
乾燥にんじん
加熱せず自然乾燥されたにんじんチップは、素材の甘みが凝縮され、発情期でも食べてくれる割合が高いおやつです。
パリッと割れるため、小さく調整しながら与えやすく、食べる量を管理しやすいのもポイントです。
少量でもエネルギー補給に役立つため、体力が落ちないようつなぎとして使いやすい存在です。
えん麦(オーツ)
小粒で噛む負担が少なく、発情期の最中でも「とりあえずこれは食べる」という子が多い万能おやつです。
少量でカロリーを取りやすいため、体重が落ち始めた時の応急的な補給に適しています。
ただし与えすぎると太りやすいため、1日数粒に抑え、あくまでつなぎとして使用します。
贅沢りんご(GEX うさグラ シリアルプラス)
りんごチップを中心に、野菜やシリアルがミックスされた香りの強いおやつです。
甘い匂いで興味を引きやすく、発情期でも「最初の一口」につながりやすい点が魅力です。チップは軽くて割りやすいため、少量ずつ調整しやすく、負担なく食べられます。
これらのおやつは、発情期で「どうしても主食を食べてくれない」ときの助けになります。
少量でも口にしてくれたら、そのタイミングでペレットや野菜に徐々に戻していく流れが理想です。
大事なのは無理に食べさせず、本人のペースに合わせて補助的に使うことです。
注意すべきケース(受診の目安)

発情期による食欲低下はよくある変化ですが、「発情期だから大丈夫」と決めつけてしまうのは危険です。
体調不良による食欲減少と見分けづらいケースもあるため、次のような症状が見られる場合は、早めに受診を検討することが大切です。
丸1日以上まったく食べない・飲まない
発情期でも少量は食べることが多いため、完全に口をつけない状態が続く場合は注意が必要です。
体が冷たい・呼吸が浅い
発情とは関係のない急性の体調悪化の可能性があります。迅速な受診が推奨されます。
うんちが極端に少ない・形が小さい
消化機能が落ちているサインで、腸の動きが弱っている可能性があります。
明らかなぐったり感がある
発情期の興奮とは逆で、動きが鈍い・反応が遅い場合は体力低下を疑う必要があります。
下痢や軟便が続く
食事量が減ることで胃腸のバランスが崩れ、別の不調を併発している可能性があります。
発情期の変化は一時的なものですが、体重が落ちるほど食べない状態が続くと、体力が急に低下してしまいます。
「いつもと違う」「発情期にしてはおかしい」と感じた時は、早めに動物病院へ相談することが安心につながります。
まとめ

リチャードソンジリスの発情期は、行動の変化だけでなく食欲の低下も起こりやすく、飼い主が最も不安になる時期です。
ホルモンの影響で落ち着かず、普段なら喜んで食べるペレットを残してしまうことも多いため、まずは発情期特有の一時的な変化であることを理解しておくことが大切です。
食欲が落ちている時期は、環境を刺激しすぎないことや、落ち着けるスペースを保つことが負担を減らすポイントになります。
また、小松菜・乾燥にんじん・贅沢りんご・えん麦・ミルワームなど、ライが実際に食べたおやつのように、少しでも口にしてくれる食品をきっかけとして使うことで、体力の維持にもつながります。
ただし「丸1日まったく食べない」「ぐったりしている」「うんちが極端に減っている」など、発情期では説明できない変化が見られる場合は、早めに動物病院へ相談することが安全です。
日々の様子を丁寧に観察しながら、無理のない範囲でサポートしていくことが発情期を乗り越える鍵になります。

コメント