リチャードソンジリスと暮らし始めるとき、まず気になるのが「ケージの中に何を入れておけば安心か」という点ではないでしょうか。
回し車や隠れ家、床材など思いつくものはいろいろありますが、なんとなく並べるだけでは、体に負担がかかったり、ストレスが溜まってしまう場合もあります。
この記事では、リチャードソンジリスと安全・快適に暮らすうえでケージ内にそろえておきたい基本アイテムと、その役割・選び方のポイントを整理してご紹介します。
「最低限これは用意しておきたい」というラインを明確にしつつ、プラスアルファであると安心なものについても触れていきます。

ケージにそろえておきたい基本アイテム

リチャードソンジリスと暮らすうえで、まず整えたいのが「毎日を安心して過ごせるケージ環境」です。
地リス類は環境の変化に敏感で、落ち着ける場所が確保されていないと食欲の低下や攻撃的な行動につながる場合があります。
逆に、必要なものが整っているケージでは、巣作り・運動・休息といった行動が自然に行え、体調の安定にも寄与します。
ここでは、公的情報で確認できる“小型げっ歯類に求められる飼育環境”に基づき、ケージ内に最初から備えておきたい要素をまとめてご紹介します。
どれも「これが欠けると生活の質が大きく落ちる」ものばかりで、ひとつひとつが理由を持っています。
隠れ家(巣箱)
リチャードソンジリスは外敵を警戒しながら生活する習性が強く、安心して身を隠せる空間が必要です。
巣箱がないとケージの隅に張り付きやすく、緊張状態が続くことでストレス反応が強く出ることがあります。
木製のボックスタイプ、陶器のドーム型など、内部が暗くて落ち着ける構造を選ぶと安心です。
入口部分はかじられることが多いため、壊れにくい材質を選ぶこともポイントです。

床材・巣材
床材は単に敷くものではなく、「巣作り・保温・掘る行動」を満たすための重要な環境要素です。
リチャードソンジリスは潜る・集めるといった行動を好むため、適度な厚みがある素材を敷いておくことでストレス発散になります。
紙ベースの柔らかい床材は足に優しく、埃が少ないタイプだと呼吸器にも良い環境を維持できます。

回し車などの運動設備
地リス類は高い運動量が必要なため、狭いケージだけでは十分な活動が確保できません。
そのため、走り回る本能を満たせるよう回し車の設置が推奨されます。
静音性が高く、走行面がフラットなタイプは足を挟む事故のリスクが少なく、夜間の使用でもストレスになりにくい特徴があります。
活発な個体ほど運動不足になりやすいため、回し車は非常に相性が良い設備です。

給水ボトル・餌入れ
衛生管理の面で、給水ボトルは必須に近いアイテムです。
ボウル式の水入れは汚れやすく、床材の巻き込みが起こることも多いため、安定して清潔な水を保つにはボトル式が適しています。
餌入れは倒れにくい陶器や固定式タイプを選ぶことで、餌が散らばるのを防ぎ、掃除の手間も減らせます。

かじり木・デンタルケア用品
げっ歯類の歯は生涯伸び続けるため、咬合バランスを維持できる固形物が必要です。
かじる習慣が不足すると歯が伸びすぎ、食べにくさや不正咬合につながることがあります。
無添加のかじり木や固形チモシー、鉱物系チューブなど、安全な素材を常にケージ内に置いておくと安心です。

ケージ内の環境づくりで意識したいポイント

必要なアイテムをそろえるだけでは、リチャードソンジリスが快適に暮らせる環境は完成しません。
同じ巣箱や床材でも、配置や厚み、ケージのレイアウトによって使いやすさが大きく変わります。
ここでは、日々の様子を観察しながら調整していく際に押さえておきたいポイントをまとめています。
「置けば終わり」ではなく、リチャードソンジリスが実際にその環境をどう使っているかを見ながら整えることが大切です。
落ち着いて休める“静かな場所”をつくる
電化製品の近くや振動を感じる場所は避け、静かで温度変化の少ない位置にケージを配置することで、生活リズムも安定します。
床材は“薄すぎず・厚すぎず”自然な行動ができる量に
逆に深すぎると回し車が安定しないなど、設備の固定に不具合が出る場合もあります。
走行スペースと巣作りスペースの両方を考慮しながら、適度なバランスを保つことが重要です。
運動スペースと休息スペースを分ける
ケージ内が一つの用途で埋まってしまうと、リチャードソンジリスが“行動を切り替える場所”を作れなくなります。
とくに活発な個体では、動く場所と隠れる場所を明確にすることでストレスを大きく軽減できます。
温度・湿度を安定させる
直射日光が当たらず、エアコンの風が直接当たらない位置にケージを置くことで、体感ストレスを抑えられます。
夏場は冷却シートや風通しの確保、冬場は専用ヒーターの使用など、季節ごとに調整が必要です。
衛生管理をしやすいレイアウトにする
給水ボトルや餌入れを取り出しやすい位置に設置し、床材の交換やケージ下部の拭き掃除がスムーズにできるよう工夫することで、日々の管理が楽になります。
特に水回りは汚れやすいため、定期的にチェックして菌の繁殖を防ぐことが大切です。
ケージづくりでよくある失敗と注意したいポイント

必要なアイテムをそろえていても、配置や素材の選び方によってはリチャードソンジリスがうまく環境を使えないケースがあります。
「なぜか落ち着かない」「使ってほしいものを使わない」「掃除のたびに嫌がる」などの小さな変化は、環境に合っていないサインであることも多く、早めに気付いて整えていくことが大切です。
ここでは、飼育者がつまずきやすいポイントを整理し、改善の方向性をまとめました。
巣箱の位置が合っておらず落ち着けない
巣箱がケージ手前にあり、常に視線が入りやすい場所だと落ち着いて休めません。
とくにリチャードソンジリスは外界の気配に敏感なため、少しの刺激でも休息が浅くなり、日中の活動量にも影響が出ます。巣箱は“奥の角”など視界の入りにくい位置へ配置し、安心できる空間を確保することが重要です。
床材が少なすぎて行動が制限される
床材が薄いと、掘る動作がしにくく、足裏に負担がかかることもあります。
ストレス発散につながる“掘る習性”を満たすには、ある程度深さとボリュームのある素材が必要です。
逆に深すぎると巣箱が安定しなかったり、回し車のバランスが崩れるため、設備全体とのバランスを意識することが欠かせません。
運動スペースが確保されていない
活発な個体ほど、動くスペースが不十分だとストレスを溜めやすくなります。
回し車を置いているにもかかわらず「走ってくれない」「空回りして落ち着かない」といった場合、配置の問題やサイズが合っていないことがあります。
ケージのレイアウトを見直し、休息エリアと動くエリアがきちんと分かれているか確認すると改善しやすくなります。
温度・湿度の変化が大きすぎる場所に置いている
直射日光が当たる場所や、エアコンの風が直接当たる場所は避ける必要があります。
リチャードソンジリスは急激な環境変化が苦手で、温度差が続くと体調を崩す原因になります。
ケージの位置を見直すだけでもストレス軽減につながるため、日々の環境チェックは欠かせません。
衛生管理が追いつかず汚れが蓄積する
床材交換や餌入れ・給水ボトルの清掃がしにくいレイアウトは、どうしても汚れが溜まりやすくなります。
汚れはニオイだけでなく菌の増殖にもつながるため、定期的な掃除がしやすい配置にしておくことが大切です。
とくに水回りは汚れやすいため、毎日チェックして衛生状態を保つことが安心につながります。
まとめ:必要なものをそろえるだけで、毎日の落ち着きが大きく変わる

リチャードソンジリスのケージづくりは、特別な設備を揃えるというより「本能的な行動が自然にできる環境を整えること」が大きなポイントになります。
隠れ家で休む・床材を掘る・回し車で走る・歯を削る・安心して食べる――これらの行動が無理なくできるだけで、日々の落ち着きと体調は大きく変わります。
巣箱の位置や床材の量、運動スペースの確保など、同じアイテムでも使い方次第で快適さは大きく変わるため、日々の様子を見ながら調整していくことが大切です。
急な温度変化や騒音といった外部環境にも配慮し、ケージ全体が「安心して過ごせる住まい」になるよう意識して整えることで、ストレスの少ない暮らしにつながります。
必要なものをしっかり揃え、使いやすいレイアウトに整えることで、リチャードソンジリス自身が持つ活発さや好奇心も発揮しやすくなります。
毎日の行動が自然に行える環境づくりが、安心した生活の第一歩です。

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