「うさぎが片足を上げている」「急に動かなくなった」──そんな様子を見て驚いた経験はありませんか?
うさぎは見た目以上に骨が細く、ちょっとした落下やジャンプでも骨折してしまうことがあります。特に抱っこ中の落下や、ケージの金網に足を引っ掛けるなど、日常の中に危険は潜んでいます。
この記事では、うさぎの骨折の原因や症状、治療方法、そして自宅でのケアのポイントまで、飼い主さんがすぐに実践できる内容をわかりやすくまとめました。

うさぎの骨折はなぜ起こる?

うさぎは体に対して骨が非常に細く、折れやすい動物です。特に後ろ足の筋肉は発達している一方で、骨が軽く脆いため、わずかな衝撃でも骨折してしまうことがあります。
骨折の原因として多いのは、次のようなケースです。
- 抱っこ中の落下:高い位置から落ちた際の衝撃で、脚や背骨を骨折するケース。
- 滑る床や段差でのジャンプ:フローリングや段差などで足を取られて転倒。
- ケージの金網に足を引っ掛ける:暴れた拍子に足が絡まり、骨が折れてしまう。
- 驚いたときの強い蹴り:大きな音や振動でパニックになり、勢い余って負傷。
骨折の痛みやショックで食欲が落ち、消化器の動きが止まる(うっ滞)危険もあるため、早めの受診が何より重要です。

うさぎの骨折サインと見分け方

うさぎは痛みを隠す習性があるため、骨折していてもじっとしていることがあります。そのため、飼い主が早く気づいてあげることが何より大切です。
次のようなサインが見られたら、骨折の可能性を疑いましょう。
- 片足を上げて歩く・引きずる(体重をかけられない)
- 触ると強く嫌がる、鳴き声や歯ぎしりをする
- 足や背中が不自然な角度に曲がっている
- 後ろ足が動かない・立てない(脊椎骨折の可能性)
- 食欲が落ちる・排便が減る(痛みやストレスによる消化不良)
もし、うさぎがいつもと違う姿勢でうずくまったり、急に動かなくなった場合は、自己判断せず、できるだけ早く動物病院を受診してください。
骨折が軽度でも放置すると、骨がずれて正しくつかなくなる「癒合不全」や、筋肉が固まる「拘縮」を起こすことがあります。
うさぎの骨折治療法と費用の目安

うさぎが骨折した場合、治療方法は「どの部位が」「どの程度折れているか」によって大きく異なります。診断のためにはX線(レントゲン)検査が必要で、症例によってはCTやMRIが行われることもあります。
① 保存療法(安静・ケージレスト)
軽度のひびや、骨がずれていない場合は安静に過ごす保存療法が取られることがあります。ケージ内での動きを制限し、滑らない床材を敷いて過ごさせます。
ただし、うさぎは動物的にじっとしていられないため、ケージを小さめにして段差をなくすなど、飼い主の環境調整がとても重要になります。
② 外固定法(包帯・ギプスなど)
足の骨折では、専用の副木や包帯で固定する方法もあります。ですが、うさぎは体毛が密で皮膚が弱いため、長期間の固定は皮膚炎を起こすこともあります。
また、自分で噛み外してしまうこともあるため、定期的な診察と巻き直しが必要です。
③ 外科手術(ピン・プレート・創外固定など)
骨がずれている、複雑骨折、背骨の損傷などでは外科手術が行われます。金属ピンやプレートを用いて骨を正しい位置に戻し、固定します。
特にうさぎでは「創外固定(ピンを外から支える方法)」が選ばれることが多く、回復率も比較的高いとされています。
④ 鎮痛・抗生剤治療
骨折の痛みを抑えるために鎮痛剤(メロキシカムなど)を投与します。感染防止のために抗生剤が併用される場合もあります。
痛みを我慢させるとストレスや食欲不振につながるため、鎮痛は非常に重要な治療の一部です。
⑤ 費用の目安
- X線・診察:5,000〜15,000円前後
- 外固定:10,000〜30,000円前後
- 手術(創外固定など):100,000〜300,000円程度
- 入院・再診・薬代:数千〜数万円(症状により変動)
費用は骨折の場所や動物病院の設備によって大きく異なります。万が一に備え、うさぎも加入できるペット保険を検討しておくと安心です。保険によっては通院・手術費の7割前後が補償される場合もあります。

うさぎの骨折後の自宅ケアと回復までの過ごし方

病院で治療を受けたあとのケアは、飼い主さんのサポートが何よりも大切です。骨折は治療後の数週間〜2か月が正念場。焦らず、うさぎが安心して過ごせる環境を整えましょう。
① ケージ環境の見直し
- ケージ内は狭めにして段差をなくす(飛び跳ね防止)
- 床は滑りにくい柔らかいマットを使用
- トイレや餌皿はすぐ届く位置に配置
- ケージ上部に布をかけて視界を落ち着かせる

② 食欲と排便のチェック
もし12時間以上何も食べない・糞が出ない場合はすぐ再診が必要です。水分はシリンジなどで補助し、脱水を防ぎます。

③ ストレスを減らす
④ 投薬と通院
再診時にはレントゲンで骨のつき具合を確認し、通常は6〜8週間ほどで固定を外すことが多いです。
⑤ 回復期の注意点
- 急に走らせない(筋力が戻るまで慎重に)
- 高い段差・滑る床は禁止
- 噛んでしまう場合はエリザベスカラーなどで保護
- 気になる仕草(足を舐め続ける・立てない)が続く場合は再診を

うさぎの骨折を防ぐためにできること

骨折は一度起こすと再発のリスクも高く、うさぎにとって大きなストレスになります。日常の中で少し気をつけるだけでも防げるケースは多いため、以下のポイントを意識してみましょう。
① 抱っこは低い位置で・無理にしない
うさぎは高所が苦手です。抱き上げるときは床に近い位置で行い、暴れそうなときは無理に持ち上げず、落ち着いてから再チャレンジしましょう。
② 床は滑らない素材に
フローリングの上ではタイルマットやカーペットを敷いて滑り止め対策を。特にシニアうさぎや体重のある子は関節への負担も減らせます。
③ ケージや部屋のレイアウトを見直す
- 高い段差やトンネルは撤去
- 金網の隙間は足を引っ掛けない設計に
- ジャンプの着地点に柔らかいマットを敷く
④ 定期的な健康チェックを
カルシウム不足や代謝異常でも骨が弱くなることがあります。定期的な健康診断で体重や食欲をチェックし、ペレットや牧草のバランスを見直しましょう。

まとめ:早めの受診と日々の気づきが何より大切

また、普段から抱っこの仕方や床の滑り、ケージの段差を見直すことで、骨折の多くは防ぐことができます。 うさぎは言葉を話せない分、行動や表情にサインを出しています。小さな変化を見逃さず、優しく寄り添うことが、最良の予防になります。
飼い主の気づきと安心できる環境づくりが、うさぎの命と笑顔を守る第一歩です。
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