リチャードソンジリスは活発で可愛らしい姿から、病気とは無縁に思われがちです。しかし実際には、シニア期を迎えると「腫瘍(しゅよう)」が発生するケースも珍しくありません。
腫瘍の中には良性のものもあれば、進行が早く命に関わる悪性腫瘍(がん)もあります。
そのため、日常の中での小さな変化を見逃さず、早期発見につなげることが大切になります。
本記事では、リチャードソンジリスに見られる代表的な腫瘍や病気について解説し、飼い主が日常で気をつけたいチェックポイントを紹介します。大切なジリスとできるだけ長く健康に暮らすために、ぜひ参考になさってください。

リチャードソンジリスに腫瘍ができやすい理由

腫瘍は決して珍しい病気ではなく、犬や猫と同じように高齢になるほどリスクが高まると考えられています。
野生下では弱っている姿を見せると捕食されやすいため、本能的に不調を悟られないようにしてしまうのです。そのため、飼い主が「元気そうに見える」と思っていても、実は体の中で腫瘍が進行していることも少なくありません。
さらに、体が小さいことから腫瘍が短期間で全身に影響を及ぼすこともあります。わずかな体重減少や行動の変化が命に直結するケースもあるため、日常の観察が非常に重要です。
このように、リチャードソンジリスは高齢期に腫瘍が発生しやすい体質と、体調の変化を隠す習性が重なるため、飼い主が早めに気づくことが難しい動物です。だからこそ、日頃のチェックや定期健診が腫瘍の早期発見につながるのです。

代表的な腫瘍と病気

アポクリン腺癌
アポクリン腺癌は、リチャードソンジリスで特に注意したい腫瘍のひとつです。
この部位に腫瘍ができると、しこりが触れたり、分泌物のにおいが変化したりすることがあります。かゆみや違和感から、同じ場所をしきりに舐める行動が見られることもあります。
進行すると腫瘍が大きくなり、転移するケースもあります。治療は外科手術が基本ですが、小動物のため麻酔のリスクが高い点も無視できません。
乳腺腫瘍(特にメスに多い)
初期は小さなしこりでも、時間が経つにつれて急に大きくなることもあります。皮膚の下に硬い塊を感じたら注意が必要です。
治療は外科手術が中心ですが、発見が遅れると取り切れないケースもあります。日常的に体を触り、胸やお腹まわりに異変がないかチェックすることが早期発見につながります。
リンパ腫
特徴的なのは、体重が減る・食欲が落ちる・元気がなくなるといった全身症状です。リンパ節が腫れて触れることもありますが、外からは分かりにくい場合も少なくありません。
診断には血液検査やエコー検査が必要です。治療は難しいことが多く、進行すると予後が厳しいケースもあります。
「最近痩せてきた」「元気がない」と感じたら、早めの受診が大切です。
皮膚腫瘍(扁平上皮癌など)
症状は「皮膚にしこりができる」「盛り上がった部分がただれる」「かさぶたが繰り返しできる」などです。外から見えるため気づきやすい反面、放置すると腫瘍が広がる可能性もあります。
皮膚腫瘍は良性の場合もありますが、悪性の可能性も否定できません。小さな変化でも早めに病院で診てもらうことが大切です。

飼い主が気づける早期発見のサイン

腫瘍は進行するまで分かりにくいこともありますが、日常の観察で気づけるポイントがあります。
- 体をなでたときに「しこり」や「硬い塊」を感じる
- 肛門や生殖器のまわりに分泌物やにおいの変化がある
- 同じ場所を繰り返し舐める、かゆがる行動が増える
- 体重が減ってきた、食欲が落ちてきた
- 毛づやが悪くなった、元気がない

動物病院でできる検査と治療

腫瘍の疑いがある場合、動物病院ではさまざまな検査が行われます。
触診で大きさや位置を確認し、必要に応じてエコー検査やレントゲン検査で内部の状態を調べます。血液検査で全身の健康状態をチェックすることもあります。
腫瘍の種類や状態によって対応が変わるため、獣医師とよく相談し、最適な治療方針を考えることが大切です。

腫瘍から守るためにできること

完全に腫瘍を予防することは難しいですが、日常の工夫で早期発見につなげることができます。
- 毎日のスキンシップで体をなで、しこりや違和感がないか確かめる
- 定期的に体重を測定し、急な減少がないか確認する
- シニア期に入ったら、定期健診を受ける習慣をつける
- 分泌物やにおいの変化がないか観察する
飼い主が小さな変化に気づけるかどうかで、治療の選択肢や予後は大きく変わります。普段から「ちょっとした違い」に敏感になることが、愛するジリスを守る最善の方法です。

まとめ

アポクリン腺癌や乳腺腫瘍、リンパ腫、皮膚腫瘍など、さまざまな種類が報告されています。
怖いのは、リチャードソンジリスが体調の異変を隠す習性を持っていることです。気づいた時には病気が進行していることも少なくありません。
だからこそ、飼い主が日常の観察を欠かさず、少しでも異変を感じたらすぐに病院を受診することが大切です。
小さなしこりや行動の変化を見逃さないことが、早期発見の第一歩です。大切なジリスと少しでも長く健やかに過ごすために、日々のチェックと定期健診を習慣にしていきましょう。
コメント